エンタルピーとは?
熱力学用語で出てくるエンタルピーという言葉を解説していきます。
語源はギリシャ語の「温まる」という言葉から来たそうな、ちなみにエンタルピーの語源もギリシャ語で「変換」という言葉らしい、全然違う意味なのに似たような発音をしおってー、紛らわしい・・・
定義式
エンタルピーは大文字の で表す。単位質量当たりの量であれば比エンタルピーとして小文字 となり、定義式は以下となる、
・・・(1)
エンタルピーは、内部エネルギー 、圧力 、体積 で表される状態量である。式から見て取れるのは、内部エネルギーの変化と、 であるから、圧力 で、体積 を押しのけた仕事の和がエンタルピーとして、その気体の持つ状態量ということになる。ただ、ある状態を一意敵に表す状態量であるので、自らの体積を何もない状態から、圧力 で、体積 分の容積を押しのけた仕事を持つ、この仕事を「全熱量」と呼ぶ。あまりイメージはできないが、そういうもんと覚えておくしかなさそうだ。
そこで、 項の意味を説明するために、流動仕事とからめた説明がよく参考書でされている。
流動仕事とエンタルピー
開いた系で、タービンなどの装置に作動流体が横切っている場合のエネルギーバランスを考える。流体は摩擦のないピストンにより準静的に体積 だけ押し込まれていると考えると、系の外部から加えられた仕事は、
これは、流体が開いた系に流入するために必要な仕事であるから「流動仕事」と言われる。流入する作動流体は、体積 、質量 、内部エネルギー 、速度 、基準高さ とすると、作動流体のエネルギーは、
(内部エネル)(流動仕事)(運動エネルギー)(位置エネルギー)
と表すことができる。
ここで、エンタルピーの定義 を用いると、
と書き換えることができ、エンタルピーの意味としては、開いた系に流体が流入するときのエネルギーを表すことがわかる。
ただし、もちろんそれだけではなく幅広く熱問題をとらえるときに頻繁に出てくる概念なので、イメージとしてとらえるためには、この開いた系の事例を頭に入れておくとよいだろう。
定常流動系のエネルギー保存則
さらに発展させて、流入するエネルギー 、流出するエネルギー として系全体のエネルギーを考えると、
単位質量当たりで考えると が外せて、
ただし、実際の熱問題を考えるときには、運動エネルギーと位置エネルギーは、他の仕事と比べて非常に小さく、影響が少ないため無視する場合が多く、
で考えることが多い。
エンタルピーと低圧比熱
エンタルピーは低圧変化と切り離せないため、これも記しておく。
図2のように圧力一定で加熱したときの比熱(低圧比熱) を考える。
ここで、式(1)の微小変化を考えると、
であり、
これに熱力学の第一法則 を代入すると、
・・・(2)である。
定圧変化を考えているので、 であるから、 であり、完全ガスの場合には は温度に依存する量になるため、
すなわち、
となり、エンタルピーと低圧比熱、温度の重要な関係が導出できる。
また、式(2)と組み合わせて、完全ガスに対しては次の式が成り立つ。