熱交換器の伝熱計算の基本
熱交換器はシェルアンドチューブ、プレート式などさまざまな種類があり、内部構造も複雑でとっつきにくく、設計において何から始めればいいのかボヤっとします。
でも構造が複雑といっても、基本的には何か2種類の流体を流して、流体と流体との温度差を使って高温流体から低温流体へ熱量を移動させるってだけのことです。流体間が混ざらないようにもちろん隔壁で仕切られておりますから、「高温流体✖隔壁✖低温流体」の熱移動が行われているということ。熱移動の三原則(熱伝達、熱伝導、熱放射)の中の2つ、熱伝達と熱伝導を使って単純なモデルに集約されます。
そういうイメージを持っていれば、どんな熱交換器も使う上での勘所はおさえられるはずっ。基本的な計算を追っていきましょう。
熱通過率
高温の流体から低温の流体へ熱を伝える装置を熱交換器といいます。
様々な種類がありますが、高温流体と低温流体が相互に混ざらないように間に隔壁を設け、隔壁の熱伝導を通じて熱移動を行うのが一般的で、隔壁を用いた伝熱ということは、基本的な熱移動量の以下の簡略モデルで考えることができます。
ここで、
高温流体の温度:、低温流体の温度: (ただし、)
隔壁の熱伝導率:
壁面の熱伝達率:、
熱通過量:
①高温流体から壁への対流熱伝達は、
②壁内の熱伝導は、
③壁から低温流体への対流熱伝達は、
より、熱流束 を求めると、
ここで、
とおくと、
を熱通過率と呼ぶ。
基本構造と伝熱計算方法
隔壁式の熱交換器には下に示したように流体が同一方向に流れる並流形と、流体が互いに反対方向に流れる対向流形がある。
ここで伝熱計算を、先に検討した伝熱モデルと同様に熱通過率を用いて表そうとすると、
熱交換器の流れ方向のある位置 における微小要素面積 を通じて単位時間当たりに熱交換される熱量 は、、 は、高温流体および低温流体の位置 での平均温度として、
また、微小要素面積 における熱交換量 、高温流体および低温流体の質量流量 、比熱 とすると、
ここで という量を、熱交換器全体 で積算していきたいため、
なる量を考えていく、
全体を積分すると、
・・・(2)
ここで、全熱移動量 は、以下で表すことできるので、
これを、式(2)に代入すると、
ここで、
として、 を対数平均温度差と呼ぶ。
これにより、熱交換器の入口および出口における温度差がわかれば熱交換量を求めることができ、また、熱通過率 、熱交換面積 を把握しておけば様々な温度差を想定して熱交換器の性能推定を行うことができる。