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かんたん!ペットボトル除湿の実力

夏真っ盛りに、昼間は40℃近い温度と焼け付けるような日差し。せめて夜だけでも涼をとって快適に過ごしたい今日この頃です。日本以外にも暑い国はいろいろとありますが、日本という国は湿度が高すぎる!ために、そのじめじめした空気で快適指数が大きくさがっているという話です。湿度を何とかしたい!カラッとしていれば日陰に入れば涼しいんですがね。

そこで巷でうわさのペットボトル除湿なるものを試してみました。

ペットボトル除湿とは、水を入れたペットボトルを冷凍庫で凍らせて、部屋に置くだけで部屋の除湿ができるというものです。エアコンとの大きな違いは、部屋の温度はそれほど変化せず、ペットボトルにある空気中の水分を除湿するという点です。

ペットボトル除湿の手順

  1. ペットボトルの9割くらいまで水を入れる。

  2. 冷凍庫に入れて一晩凍らせる。

  3. 水が滴ってもいいようにトレイなどに入れ部屋に置く

  4. 可能であれば、扇風機やサーキュレータなどで風を当ててやる

手順の解説

なぜ9割くらいまで入れるのか?

水の密度は水温20℃で 0.998g/cm^3 であるが、氷にすると密度はぐんと下がり 0℃の氷で 0.917g/cm^3 となる。
その比は、

\displaystyle \frac{0.998}{0.917}=1.09

つまり、元の水の体積より1.09倍増えるというとこだ。500㏄の水をいれていおくと凍った水の体積はペットボトルの中で強制的に545㏄にもなってしまう。あふれようとした水はペットボトルの内側から外側へかかる圧力となり、ペットボトルの破損につながります。 そのため余裕をもって9分目くらいで止めましょう。450㏄だったら、凍っても490㏄。

なぜ風を当ててやるのがいいのか?

除湿するには以前の記事で書いたように、空気に含まれる水分を結露させて液体に戻してあげなくてはいけません。結露させるためには、現在の温度よりも空気を冷やして、つまり、飽和水蒸気量を低下させて、現在の温度では気体として蓄えている水分をあふれさせて液体にしてやる必要があります。

ganbaruengineer.hatenablog.com

もし、ペットボトルのまわりの空気が静止していたら、ペットボトルのまわりの空気は自然対流として動きます、すなわち、ペットボトルの表面で冷やされた空気は下方にたまるため(結露して水分は吐き出すが、空気としては重たくなる)、床に置いてあるペットボトルの周囲にずっとまとわりつくことになります。そうすると温度の下がった空気がそのまま滞留するため、冷やしたい熱い空気に触れることができず、除湿機能が大幅に低下することになります。

ペットボトル除湿の効果

私は寝る前に布団の脇にペットボトルの入ったアルミトレイを置き、サーキュレータで風を当ててセットしています。寝室は6畳の部屋で家族で寝ています。子どもが小さいため特に夏は子どもが寝てるうちに体温が高くなって体からの発熱が大きく、大量の汗をかいて大きく湿度を上げているため、エアコン設定温度は26℃とちょっと低めの設定です。温度計を見るとおよそ27℃程度の室温が安定して得られています。

図1.凍らせたペットボトル

サーキュレータはこれを使っています。
静音モードにするとなかなか静かで気持ちよく熟睡できます。(アイリスオーヤマは好きではありません(笑)

サーキュレーター左右自動首振り 風量3段階 静音YAS-AFKW15(WH) YAMAZEN

夜にセットしたものが、朝になるとどうなっているか、が下の写真です。

図2.一晩で除湿した水分

アルミトレイにしっかり水分が滴っています。アルミトレイの底が浅いため、こぼさないように計量します。

図3.除湿水分の計量

どうやら、一晩で43gの水分を除湿できたことになります

さて、ここで計算です。寝室の空間にある水分量はいくつでしょうか? ここで計算の前提を整理しておきます。部屋の大きさは6畳2部屋、気温は27℃、湿度(相対湿度)は子どもの汗っかきなのでちょっとじめじめ寄りで80%とします。

<前提>
・部屋の大きさ:6畳2部屋
・気温:27℃

ここで、部屋の体積 V(m^3) とすると、

 V = 1畳の大きさ \times 畳数 \times 高さ  =1.8 \times 0.9 \times 6 \times 2.1=  20.4(m^3)

 t=27℃の時の飽和蒸気量をa(g/m^3) とすると、よく使われるtetensの式を用いて飽和蒸気量は、

\displaystyle a(t)=\frac{217\times e(t)}{t+273.15}

\displaystyle e(t)=6.1078\times 10^{\frac{7.5t}{t+237.3}}

より、

\displaystyle e(27)=6.1078 \times 10^{\frac{7.5\cdot 27}{27+237.3}}=35.65

\displaystyle a(27)=\frac{217\cdot 35.65}{27+273.15}=25.77(g/m^3)

となった。

100%の湿度であれば、1m^3 中に約25.8g の水分があることになる。
なので、部屋の湿度が100だと仮定すると、部屋の体積をかけて

飽和水蒸気量=25.8 \times 20.4= 526g

であるため、実際に除湿できた 43g の飽和水蒸気に占める割合は、

43 \div 526 \times 100=8.2%

つまり、ペットボトル除湿による湿度への影響は相対湿度で[8%] 減少させることができる、ということが分かった。

ちなみに、これはペットボトル3本分の効果ということなので、1本当たりに換算すると、約2.7%ということになる。例えば、10%程度まで湿度を下げようとすると4本程度の500ccペットボトルがいるということか。

アルミトレイ 森中製作所 日本製 昭和レトロ