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真夏のコンビニコーヒーに救世主!!コンビニコーヒータンブラー!

最近買ったもので感動したものがあったので考察も交えて紹介したいと思います。

それは・・・コンビニコーヒー用タンブラーです!!その保冷効果は製作者の予想をはるかに超え、超合理的な断熱機能が発揮されていた!

紹介している記事はしばしば見ますが、ぜんぜん考察ができてなくて、伝わってない気がするので。自分で書いてみました。多くの人にこれを使ってコーヒーを楽しんでもらいたい。

驚きの断熱性能

 

 

商品の名前聞けばそれだけでどんな商品かは容易に想像がつくでしょう。

 

コンビニコーヒーをプラ容器に入れたまま断熱タンブラーに入れることができ、その断熱性能によって長い間冷たさを保持できるというものです。そう、あなたが想像したとおりの、そのまんまの商品です。

 

もちろん私は、普通のタンブラーも持っていますし、冷たいコーヒーをいれて毎日浴びるように飲んでいます。ですから普通の断熱タンブラーにアイスコーヒーをいれて、どれくらい冷たさが続くのかなんて、大体想像がつくわけなんですが・・・。

 

ところが、このコンビニコーヒータンブラーを使ってみたところ、思っていたよりも保冷時間がながいんです、いや、長い、長すぎるんです。大体ですよ、コンビニコーヒーを飲むときなんて、もっぱら車の移動しないといけなくてしょうがなくの車内で飲むようなことが多いわけで、そこでちょっと用事を済ませるために車からはなれて小一時間経ってから戻ってくることがざらにあるわけですが・・・まだぜんぜん冷たいんです。真夏の炎天下の車の中で、エアコンを切った状態を想像してみてください。ほんの数分も中にいられない程熱いわけですが、その中で小一時間、長いときは数時間放置していたことがあるんですが、まだまだ冷たいんです!えっ!?なんで??ってなりますよね。

 

不思議です、技術者魂が訴えるんです、なぜ?なぜ?ってね。そこで、よく見ながら考えてみました。(T社だとなぜなぜは3回やらないと許してくれません。T社じゃないけど・・・)

 

商品の形状

タンブラー自体は、通常の断熱真空タンブラーと変わらない形をしています。
普通のタンブラーは、飲み物をそのまま中に注ぐだけですから、直径はそれほど大きくありません、口当たりを気にしてか口元だけ広がってたり、丸まってたりする形状が多いと思います。


一方、コンビニコーヒータンブラーは、大前提としてコンビニコーヒー、またはコンビニで買えるようなプラ容器に入った飲み物を容器ごと入れなければいけないため、やや直径が大きくなっており、口元は直接口をつけるわけではないため口元の造形に凝ったところは見られません。


どちらかというと、先がとがっているので口を付けたら痛そうです。


コンビニのプラ容器を差し込むと、カップ底の直径よりも、タンブラー底の直径の方が十分大きく、余裕をもってスルっと入り、タンブラー内側の斜面角度に比べ、プラ容器外側の斜面角度が強いため、プラ容器上部の蓋に近いところとタンブラー内面で線(だけで)接触しプラ容器を保持しています。図で書くと以下のようになっています。

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図1.コンビニコーヒータンブラー使用時の断面


 

普通のタンブラーの断熱構造の弱さ

タンブラー自体は金属を折り曲げて、金属の内部に温度を伝えない真空(に近い状態)
にすることにより中の液体と、大気(雰囲気温度)または握っている手と断熱しています。
ただし、金属部分は内側から外側へ一枚の板でつながっているために、金属を伝わって
大気または手に熱が逃げていきます。ここで伝熱の量を決める式を考えてみると、

Q = A・k・ dTk:熱伝導率、A:伝熱面積、dt:温度差)

であり、kは使用している金属で決まってしまう係数で、dtはここでは内部の液体の温度と、大気または握っている手との温度差です。そしてAは熱が伝わっていくときの媒介物の断面積になり、ここは金属の厚さと幅になります。幅というのはタンブラー内径と考えればいいでしょう。
金属の厚さは非常に薄くおそらく0.5㎜程度でしょうから、断面積Aは非常に小さいと考えられますが、しかし、ここでは熱伝導率kが捨て置けません、なぜなら一般的に金属の熱伝導率は非常に大きいからです。おそらく使われているのはステンレス鋼かと思われますが、ステンレス鋼の一般的な熱伝導率は16~26[W/mK]あたりが相場です。

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図2.通常の断熱構造

コンビニコーヒータンブラーの断熱構造のすごさ

次にコンビニタンブラーの断熱構造を考えてみましょう。
内部の温度を外部の大気や手に伝える構造は同じです。大きく違うことは
タンブラーの中に、プラ容器ごと入れるということです。そうすることによって
何が起こるのでしょうか?

  1. 飲み物がプラ容器で覆われているためそもそも断熱効果UP
  2. タンブラー内壁とプラ容器の間に空気層ができ断熱効果がUP
  3. 熱伝導性の高い金属部に接触している部分は線接触のみで直接熱を伝えない
  4. さらに線接触部分は、カップ上端部に近く、冷たい飲み物が触れていないため、直接熱を伝えない
  5. カップ上端には蓋があり、飲み物上部の空気が温かい空気と交換されないため上部から熱が逃げない

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図3.コンビニコーヒータンブラーの断熱構造

これだけ断熱対策なされているのです。というか、意図せずなされてしまっているのです。そしてプラ容器(おそらくPET素材)の熱伝導率k0.2[W/mK]程度と、金属と比べて2桁も違います、段違いです。きっと、製作者の意図に反し、超断熱性能を手に入れてしまったのです。これって特許とれないの?と思うくらい高性能なんです。

 

さらに、今後コンビニ業界がプラスチックごみ削減のため、プラ容器から紙容器に変えていく動きがあるようですが、紙の熱伝導率k0.06[W/mK]とプラ容器よりもさらに1桁断熱性能が高いんです。もうこれは、氷溶けないんじゃないの・・それはないか・・・

 

補足ですが、断熱構造の恩恵としてもう一つ、カップの表面が結露しないことがあります、車のカップホルダーがびしょびしょになることも、コーヒーを飲む度にハンカチで手を拭かないといけな煩わしさももうありません。これだけでも十分元が取れるんじゃないでしょうか。

 

さあ皆さん、これで目いっぱいおいしいコーヒーを楽しみましょう。

あー、つかれた。

 

これもおしゃれ。